欧米のティータイムやお祝い事に欠かせないクッキー。アメリカやオーストラリアには、棒状に成形された切って焼くだけのクッキー生地が売っていたり、欧米には生のクッキー生地をバニラアイスに混ぜ込んだクッキー・ドウアイスクリームなるものがあったり、クリスマス前にはどこの家からもクッキーの芳ばしい匂いが漂ってきたりと、欧米におけるクッキーは単なるお菓子の域を超えた存在です。
さて、ベルギーには驚くべき形をしたクッキーがあります。
スペキュロス・スプレッドと呼ばれるなんとペースト状のクッキーです。ジャムでもハチミツでもなく、クッキーが原料のスプレッド!
実際に味見してみるとシナモン風味のクッキー味で、大変美味。トーストやパンに塗って食べるのが現地流だそうですが、個人的にはパイ生地やクロワッサンに塗るとクッキーの味が引き立つように感じます。
ところでスペキュロスというクッキーをご存知でしょうか?
ヨーロッパでは古くから存在するクッキーで大変ポピュラーなもの。シナモンやカルダモンなどのスパイス入りでサクサクッとした食感が特徴で、ベルギーやオランダではキリスト教にちなんだ12月5日(または6日)のミラ・ニコラオスの日に、ドイツではクリスマスに食べられるクッキーの一種です。
ところでこのクッキー、船や馬にゾウなどを象った可愛い模様も特徴のひとつ。現在では細やかな模様のものに加え、シンプルなものが一年中出回っています。
それにしてもどういう経緯でスプレッドが誕生したのでしょうか?
答えは意外なところにありました。
その昔、ベルギーの労働者がバターとスペキュロスクッキーをパンに挟んだサンドイッチを昼食用に携帯していたのが始まりだとか。朝作ったサンドイッチが昼頃になるとほどよくパンになじみ、クッキーがペースト状になったところを食べていたそうですよ。
それにしても、クッキーをサンドイッチの具にしてしまうとは・・・!
スプレッドが市場に出回るようになったのは数年前ですが、ベルギーを筆頭にオランダやフランスなどでも人気。世界を旅すると、想像をはるかに超えた食べ物に出合うことがあります。
スペキュロス・スプレッドはそんな食べ物のひとつで、歴史を紐解いてみると実際は現地の食文化ならではの発想だということが分かります。現地の食べ物を通して文化を学ぶのも楽しいものですね!





