イギリスで語学学校に行き始めて間もない頃、若者だらけの学校で年齢を訊かれてばかりいました。答えるたびに、せっかく友達になれそうだったのに引かれるのではないかとビクビクしていた筆者。
同い年39歳のAirbnbホストであるエイミーに、なぜかいつも年齢を訊かれてしまうとため息交じりに話して言われたのが、この「皆に年齢を訊かれるのは、あなたが異常に年齢を気にしているから」という言葉。そしてその意味を考えようとすれば、増々ドツボに嵌るというジレンマがありました。
姉御肌のエイミー
エイミーとは、朝・晩に食事の用意をする際にキッチンで話をしました。「掃除はあんまり好きじゃないの」と笑う彼女の性格は、洗い物の仕上がりにもあらわれていましたが、チャキチャキと気持ちのよい姉御です。
サッカーで有名なレスター出身、父親がイギリス、母親がモロッコのハーフで、ナチュラルなボンバーヘアがよく似合います。「モロッコでは一杯の紅茶にスプーン5杯の砂糖を入れる。おじさんは40歳のときには歯がなかった。ほんとだよ!」なんて話も。
母親の干渉が煩わしくて16歳で家を出たという独立心旺盛な彼女は、大学で心理学を専攻し、少年犯罪の更生具合をレポートにする仕事を得てこの町にやってきました。給料はよくないけれど、遣り甲斐のある仕事だったと語ります。今は、息子3人の世話をするため、パートタイムで違う仕事をしています。
12歳からはじまる3人の子どもたちは皆、お父さんに似てすきっ歯。イギリスでもフランスでも、このすきっ歯が幸運だとか、セクシーだとか言われています。喧嘩の絶えない彼らは、まとめてボーイズ! と呼ばれていました。
「ボーイズは犬みたいなもので、コントロールが効かない。勉強もおとなしくやらないし、自分が子供の頃と全く違う。女の子ならもっと教えてってなるところなのに」とエイミーはちょっと不満げ。
語学学校に通い始めた筆者への激励
入学から数日経ち、気疲れして一人でランチをしたと話すと、「とにかく社交的に! 若者グループに入って話さないと。ただの英語を話す相手だと思って。失うものはなにもないじゃない、しばらくしたら帰るんだし。年齢のこと、人種のこと、全部忘れて!」今も完全に忘れることはないものの、意識しすぎて辛かった日々が懐かしく思われます。
英語についても、「相槌は『あー』ではなくて喋らないと! ちゃんとわかるから自信をもって。口はもっとしっかり開いて話すといい」。その後これを意識するようにしたら、日本人は口を開かない人が多いなか、発音がクリアだと時々言われるようになりました。
ひとときしか一緒にいなかった相手から受けた影響が大きいことってありますね。
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