フェルメールにレンブラントも!アムステルダムの国立ミュージアムを効率的に回るコツ

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Feb 26th, 2017

オランダと言ったら何を思い浮かべますか? 風車や運河のある町並みでしょうか? スポーツが好きな人はサッカーや野球を思い浮かべるかもしれません。歴史好きなら出島、九州の人なら長崎のオランダ村、女性ならチューリップなどが連想されるかもしれませんね。

フェルメールにレンブラントも!アムステルダムの国立ミュージアムを効率的に回るコツ

もちろん、それらもオランダを語る上で欠かせないポイントなのですが、やはり絵画の存在も忘れられません。

17世紀に絵画史で黄金期を迎えたオランダ。レンブラントやフェルメールという人物の名前は、どこかで聞いた覚えがあるはず。そうした絵画界の巨匠たちの作品を丸ごと楽しめる場所が、オランダのアムステルダムにある国立ミュージアムになります。

大学時代に芸術を学んだ筆者が、にわか知識を最大限に生かしつつ、現地の効率的な楽しみ方を紹介しますので、絵画好きでなくても、オランダ旅行に興味のある人はぜひともチェックしてみてくださいね。

17世紀の黄金時代の傑作が一堂に会しているミュージアム

フェルメールにレンブラントも!アムステルダムの国立ミュージアムを効率的に回るコツ

そもそもオランダと言えば、どうして絵画なのでしょうか? 「誰か有名な人は居るの?」と思うかもしれませんが、先ほど軽く触れた通り、オランダの17世紀は黄金期と呼ばれるくらい偉大な才能が次々と現れました。

大学時代にテキストとしても読んだ千足伸行監修の『新西洋美術史』(西村書店)を読み返してみると、「17世紀のオランダ絵画」と章が割かれているほど、オランダは世界の絵画史の中に、大きな足跡を残しているのですね。まさにその時代の絵画の多くを展示している場所が国立ミュージアム。

レンブラント、フェルメールなどの名前を出しましたが、「どちらも知らない・・・」という人、17世紀ではありませんがゴッホはいかがでしょうか?

ゴッホもオランダ人画家の1人。数こそ少ないですが、ゴッホの作品も国立ミュージアムには展示されています。「うむ。それなら行ってみるか」という気分になってきませんか?

国立ミュージアムのスタッフはとてもフレンドリー

フェルメールにレンブラントも!アムステルダムの国立ミュージアムを効率的に回るコツ

この美術館は、展示絵画そのものだけではなく、建物そのものも魅力的です。日本の東京駅のモデルとなったと言われる駅がアムステルダム中央駅になりますが、その駅舎の設計者と同じ人が、このオランダ最大の美術館を設計しています。

1885年に開館したそうですが、日本から持ち込んだ手元のガイドブックによると、美術館として設計された建造物ではヨーロッパ最大なのだとか。かといってその威厳に満ちた建物で働いている人たちは、観光客に冷ややかな視線を投げ掛けてくるわけでもありません。

筆者がチケット売り場に行くと、スタッフの女性がカウンター越しに品のある笑顔でお出迎え。入場料17.50ユーロを払うために、5ユーロ紙幣と10ユーロ紙幣を差し出すと、「まるで銀行の金庫から今取り出してきたばかりのような、奇麗な新札ですね」と、人懐っこい笑顔で冗談を言ってきました。

「その通りです。扱いに気をつけないとカミソリみたいに手が切れてしまいますよ」と言ったら、隣の係員まで声を上げて笑ってくれました。とてもフレンドリーな雰囲気なのですね。

残り2.5ユーロを小銭で払おうと手間取っていると、「私も海外を旅行すると、小銭の支払いが苦手で、つい小銭がたまってしまう。とても気持ちは分かります」と、嫌な顔をせずに笑顔で待ってくれました。「もう、取ってくれ」と財布にたまった小銭を筆者が思い切って見せると、「細かいコインから減らしましょう」と、少額コインを何枚もつまみ出して、残りの2.5ユーロの支払いにあててくれました。

財布だけでなく、国立ミュージアムに足を踏み入れる気負いまで軽くなった気がしましたよ。

黄金時代の作品を真っ先に見に行くといいかも

フェルメールにレンブラントも!アムステルダムの国立ミュージアムを効率的に回るコツ

この美術館、チケット売り場やクローク、入り口やカフェ、ショップのある0階からスタートして、1階に1700年から1900年の作品、2階に1600年から1700年の作品、さらに3階に1900年から2000年の作品が展示されています。

とにかく広いため、全ての作品を1つずつじっくり眺めようなどとは考えない方がいいかも・・・。大学時代の教授も言っていましたが、美術館は最初の展示作品から本気で見ていっては疲れるだけ。

まずは最初に館内をザーッと周って、何かを感じた作品の下に後から戻って、じっくり見るといいのですね。まさにこの広大な国立ミュージアムでこそ、実践するといいテクニックです。

1階にゴッホの自画像などもありますが、長く足を止めずに、まずは同館の主要展示物と言える、17世紀の作品群を扱った2階フロアに進んでしまった方がいいかと思います。時間のない観光客にとっても、その方が効率的です。

『夜警』は絶対にチェック

フェルメールにレンブラントも!アムステルダムの国立ミュージアムを効率的に回るコツ

同館で必見の作品と言えば、世界中の美術愛好家の誰に聞いても恐らくレンブラントの『夜警』と答えるはず。英語のタイトルは『Night Watch』です。この作品にだけは常時2人の学芸員が門番のように立っているのですぐに分かります。人の背丈をはるかに超えるサイズの大作で、圧倒的な存在感がビンビンと伝わってくるはず。

フェルメールにレンブラントも!アムステルダムの国立ミュージアムを効率的に回るコツ

同じフロアにはフェルメールの『牛乳を注ぐ女(Milkmaid)』など、学校の教科書にも載っているような名作が一堂に会しています。そうした傑作を一か所で一息に見られるのですから、観光客にはありがたいですよね。

今回の旅行に先立って、日本で働く同級生の学芸員に「美術館の楽しみ方は?」とあらかじめ聞いておいたのですが、その答えの1つとして「とにかくその美術館の名作を見ること」という言葉がありました。

「絵画史で名作と言われる作品には、何かしらの理由がある。だからこそ、とにかくその作品の持つ魅力を肌で感じてみる。あとは自分の感動する理由は何なのかを、ゆっくりと考えてみる、thinkする」といいそう。

主要な作品の近くには、英語ですが持ち運びできる解説パネルが並んでいます。体の内側から静かにわきあがってくる興奮の源泉が何なのか、考えるヒントにしてみてくださいね。

 

以上が、アムステルダムにある国立ミュージアムの基本的なガイドになりますが、いかがでしたか?

チケットは事前のネット購入もできます。平日の9時、開館直後に行ったときは列などなく、とても空いていましたが、休日などは列になるケースもあるそう。自分の訪れる日を考えて、ネット購入も検討してみてください。

館内には作品を手元のメモ帳に模写する人や、床に座ってリラックスしながら先生の話を聞く学校の生徒たちも見られます。

そうした人たちの作品をのぞき見したり、ガイドに聞き耳を立てたりしつつ上述の効率的な周り方をすれば、1時間くらいで館内を満喫できるはず。アムステルダム旅行の際には、ぜひとも訪れてみてくださいね。

ちなみに館内はフラッシュをたかなければ、写真撮影は許可されています。

フェルメールにレンブラントも!アムステルダムの国立ミュージアムを効率的に回るコツ

[アムステルダム国立美術館]
[All photos by Masayoshi Sakamoto]

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PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

1979年東京生まれ、埼玉育ち、富山県在住。成城大学文芸学部芸術学科卒。国内外の媒体に日本語と英語で執筆を行う。北陸3県を舞台にしたウェブメディア『HOKUROKU』の創刊編集長も務める。 https://hokuroku.media/

1979年東京生まれ、埼玉育ち、富山県在住。成城大学文芸学部芸術学科卒。国内外の媒体に日本語と英語で執筆を行う。北陸3県を舞台にしたウェブメディア『HOKUROKU』の創刊編集長も務める。 https://hokuroku.media/

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